「20歳なんですけど! ふくしの…大学? に通ってるんですけど! 嘘をつきました」の元ネタを、詳しく掘り下げてご紹介いたします。
インターネット上で長く親しまれているこのフレーズ。体操服にランドセルという幼い見た目の女の子が、必死の形相で年齢と所属を偽るシーンは、パロディやコラ画像、AA(アスキーアート)として何度も使われてきました。
見た目と主張のギャップが強烈で、つい笑ってしまう人も多いでしょう。しかし、元ネタを丁寧にたどると、単なる「痛い嘘」ネタではなく、切なくも温かい物語の重要な一コマであることがわかります。
20歳なんですけど! ふくしの…大学? に通ってるんですけど! 嘘をつきましたの元ネタの正体と基本情報
このセリフの出典は、成人向け漫画家・クジラックス先生による読み切り作品『らぶいずぶらいんど』です。2009年7月号の『COMIC LO』(茜新社)に掲載され、のちに2012年11月22日発売の単行本『ろりとぼくらの。』に収録されました。
単行本には他にも『ろりともだち』や『がんばれ便所飯くん』など、作者の初期を代表する作品がまとめられています。
『らぶいずぶらいんど』は全26ページ程度の1話完結作品です。タイトルは「Love is Blind」(愛は盲目)をもじったもので、まさにその通りの内容になっています。
作者のクジラックス先生は1985年12月9日生まれの栃木県出身。宇都宮大学教育学部を卒業後、2008年頃から商業誌で活動を始めました。
主に『COMIC LO』を舞台に、ロリ系の成人向け漫画を発表してきた作家です。作風は時に過激でダークな展開が多いのですが、本作は「抜けるというより泣ける」と評される純愛寄りの作品として、ファンの間で特別な位置を占めています。
物語のあらすじ(ネタバレを控えめに)
主人公は12歳の少女・小林のぞみ。テストの点数がひどくて落ち込んで歩いていたある日、目の見えない青年・タケルとぶつかります。のぞみは彼の家まで送り、不自由な生活を見かねて「時々家事を手伝いに来てもいいですか」と提案します。
タケルは盲目のため、のぞみの外見年齢を正確に把握できません。のぞみは「頼られたい」「普通の関係を築きたい」という思いから、自分を「20歳の大学生」だと偽ります。そこで登場するのが、あの有名なセリフです。
「し、失礼なっ、私…こー見えても、20歳なんですけど! ふくしの…大学? に通ってるんですけど!」
そして地の文で静かに「嘘をつきました」と記されます。このシーンが、作品の象徴的なコマとして切り取られ、ネット上で独り歩きを始めました。
20歳なんですけど!
ふくし…の大学に通ってるんですけど!(ガチ) pic.twitter.com/522wufNwSO— なつめ (@natsume_typeS) April 9, 2026
その後、二人は徐々に心を通わせ、親密な関係を築いていきます。のぞみはタケルの生活を支え、タケルはのぞみの優しさに救われていく。盲目という設定が「外見ではなく内面でつながる」というテーマを強調し、純粋な愛情が描かれます。
ただし、青年は決してロリコンというわけではなく、目が見えないがゆえに相手の年齢を正確に判断できないこと、少女側が年齢を偽って接していることが、物語の核になっています。
しかし、世間はそんな関係を許しません。現実の壁が容赦なく二人を襲い、切ない結末を迎えます。エロティックな描写はあるものの、全体として「泣ける」印象が強い作品です。読後感は人によって分かれますが、「純粋すぎるがゆえに儚い」と感じる人が多いようです。
なぜこのセリフがこれほど広まったのか
このコマがミーム化した理由は、いくつか考えられます。
まず、視覚的なインパクトです。体操服にランドセルという小学生らしい出で立ちで、必死に「20歳の大学生」を主張する姿は、ギャップが極端です。「ふくしの…大学?」と途中で詰まるような言い回しも、必死さを強調していて印象に残ります。
次に、汎用性の高さです。「見た目が幼いのに年齢を主張する」「必死に嘘をついている」というシチュエーションは、さまざまなキャラクターに当てはめやすい。PixivやX(旧Twitter)では、このシーンをパロディしたイラストが大量に投稿されています。
本来は年齢を高く偽るシーンなのに、逆に「とうに20歳を過ぎたキャラクターに言わせる」遊びや、地の文を「嘘をついてません」と改変するバージョンも見られます。
さらに、作者本人の姿勢も影響しているかもしれません。クジラックス先生はパロディを好意的に受け止めている様子が、近年のX投稿などからうかがえます。
「未来永劫嬉しいです」とコメントした例もあり、ファンの遊びを否定しない姿勢が、ミームの寿命を延ばした一因と言えるでしょう。
単行本『ろりとぼくらの。』が複数回重版されるなど、作品自体の人気も根強く、ミームと原作が互いに支え合う形になっています。
作者・クジラックス先生の位置づけ
クジラックス先生は、ロリ系成人向け漫画の中でも独特の存在感を持つ作家です。『ろりともだち』は評論家の東浩紀氏によって「優れた作品」「一種のロードムービー」と評されたこともあり、単なるエロ漫画を超えた評価を受けることもあります。
一方で、作風が過激なため「ヤバいマンガ枠」として語られることも少なくありません。
本人はインタビューなどで、ロリ物を描くようになった経緯や、現実と創作の境界について率直に語っています。『らぶいずぶらいんど』は比較的初期の作品であり、作者自身も「すごく前の作品だからこそ冷静に語れそう」と述べるほど、時間が経っています。
それでもなお、この一コマがネット上で生き続けているのは、物語の純度とセリフのインパクトが今なお新鮮だからなのでしょう。
20歳なんですけど! ふくしの…大学? に通ってるんですけど! 嘘をつきましたの元ネタを総括
「20歳なんですけど! ふくしの…大学? に通ってるんですけど! 嘘をつきました」は、ただのネタとして消費されがちです。
しかし、元をたどると、目の見えない青年と12歳の少女が、嘘をつきながらも純粋に心を通わせようとする、切なくも温かい物語の一場面でした。
タイトル通り「Love is Blind(愛は盲目)」を体現した作品であり、外見や年齢という「見えるもの」ではなく、内面でつながろうとする二人の姿が描かれています。
ネットミームとして笑いの対象になる一方で、原作は「泣けるエロ漫画」として一定の評価を受けてきました。
興味を持たれた方は、ぜひ原作に触れてみてください。ただし、成人向け作品ですので、閲覧には十分ご注意ください。単行本『ろりとぼくらの。』や電子書籍で比較的入手しやすい状態です。
このセリフがこれからもさまざまな形で使われ、時に笑わせ、時に胸を締めつける存在であり続けることを願っています。ミームの裏側にある物語を知ることで、いつものあのコマが少し違って見えるかもしれません。

